ストーリー

恋せよ乙女 〜花の浅草人情噺〜

昭和4年、花の浅草六区、宝龍館で繰り広げられる人情悲喜劇。帝都東京第一の興行街である浅草。関東大震災からも見事に復興を遂げた庶民がこぞって足を運ぶ夢の町でありました。

舞台にかける男女の汗と涙。母と子、兄と弟。夫婦の縁。女の絆。様々な関係を描きながら、日本人の熱い情を描き出すエンターティメント芝居です。

当時、舞台で見られたと思われるレビューショーを現代のセンスを加えて再現し、観客に楽しんで頂くのとともに、古典芸能(新内、太鼓、講談)を織り交ぜ、大正昭和の懐かしい着物を楽しんで頂く企画です。東京の下町の熱い思いで、現代の乾いた人間関係を潤すことが出来たら嬉しいですし、そうなると確信しております。

この舞台を通して

脚本:森本朱丹、演出:安井ひろみは、浅草を舞台に、古き良き時代を舞台にして、着物や芸能を織り込んだエンターティメント演劇を作り続けてまいりたいと考え、ご後援いただける清新な舞台を目指しております。

日本人の強さと愛しさを余すところなく描いたー「森本朱丹書き下ろし」 「安井ひろみ演出」の人情噺。

幸せに生きるって案外簡単なことかもしれません。泣いて笑って、元気を持って帰って下さいませ!

登場人物

《宝龍館》
  
小倉朝子(神田陽子)
       宝龍館の女主人。ちゃきちゃきの浅草っ子。周りの人間は
       誰でも放っておけない世話焼きな気っ風のいい女。
小倉哲治(迫田圭司)
       朝子の弟。親から引き継いだ宝龍館に命をかけている。常
       に新しい舞台を創り上げたいという思いが強い熱血漢。
       好きな女には想いを伝えられない不器用なところもある。
大文字誠(水月星司)
       演出、振付けを手がけている才能ある青年。映画の世界か
       ら誘いを受けているが、劇場を離れる覚悟が出来ない。
チギリ(原めぐみ)
       宝龍館の看板歌手。金糸雀(かなりあ)の母親。昔は金龍
       館のスターだった。子育ての頃、数ヶ月の空白がある。
       子供を愛するが故に厳しく当たってしまう。
田代信子(小西マリア)
       金糸雀の育ての親。この劇場で衣裳を作ったり、歌を教え
       たり、少女たちの世話も焼く。みんなのお母さんとして
       慕われている。
金糸雀(室伏摩耶)
       チギリの娘。歌手として厳しく育てられ、二十歳になった
       今は、大阪の大きなダンスホールに修行に出されている。
カンナ(楊原京子)
      アルゼンチンダンゴの名手。相方である恋人に先立たれ、自
      暴自棄になっているが、ある青年の出現により、もう一度生
      き直そうと覚悟を決める。
新内源史朗(新内剛士)
      新内語り。ただひたすら自分の芸を究めることしか頭にない。
      周りからの誘惑にも全く揺らがない孤高の人。
三味線お駒(大川真理)
      三味線芸人。年下の夫との関係に悩む。新内源史朗の上三味
      線をやりつつ,自分の芸を磨いている。
大矢松吉(藤馬ゆうや)
      お駒の亭主。定職には就いていないが、腰が軽いため、お駒
      の身の回りの世話をしたりして重宝されている。
佐喜子(浪江路子)
      以前は柳橋の芸者。踊りが好きで芸者になったという経歴が
      あるが、好きでもない男の世話になることを好まず、芸者を
      あきらめて劇場の着付師になる。
等々力伝吉(池田諭)
      出所不明、何時からか、宝龍館の楽屋番になる。どんなこと
      も黙々と務める。
平順平(日向野祥)
      関東大震災の時にはぐれた母親を兄弟で探している。そのた
      め、母親が自分たちを見つけ易いように、人の目につく舞台
      芸人になった。剣劇を取り入れた舞踊をやる。
平浩平(岡本龍太郎)
      順平の兄。弟とともに新しい舞踊を舞台でやりながら生き別
      れになった母親を捜している。女形。男気がある。
坂田藤四郎(三好冬馬)
      化粧師、元は大部屋の歌舞伎役者。博打が好き。仕事はでき
      るのに、その癖のために何をやっても中途半端でうまく行か
      ない男。
近藤太一(大熊祐我)
      島根から浅草のレビューに憧れて上京した青年。誠について
      演出部修行中。誰からも可愛がられる。
大森政子(小林つづれ)
      歌い手に憧れて、宝龍館に来たが、生来の面倒見の良さから、
      裏へ回った。この宝龍館の裏周りを一手に引き受けている。
本島とおる(荻野貴継)
      金糸雀が世話になっていた大阪のダンスホールの踊り手。浅
      草六区で名を挙げるべく金糸雀の後を追って単身上京。カン 
      ナの最後の相方となる。
麗華(璃娃(レイアイ))
      同じ大阪のダンスホールで踊っていた中国人の娘。とおるの
      恋人。自分の信じる道一直線。男を追いかけてどこまでも追
      いかけて来る。
花子(宮原美雪)
      福岡から上京し、踊り子修行をしている少女。生来の明るさ
      と根性を笑顔に隠して、ひたむきに働いている。
多江(松田梨沙)
      富山から上京し、踊り子修行をしに来た。気が強くて、どん
      な厳しい稽古にも根を上げないで付いて来るため、みんなに
      信頼されている。      
君子(吉川みのり)
      本当は歌い手になりたくて劇場に来たのだが、小さい頃から
      祖母に教わっていた横笛を見込まれて、他の少女とはまた違
      った修行をしている。 
佳枝(渡辺優里亜)
      母親も踊り子であったため、踊りが大好きで、自らこの劇場
      に修行を願い出た。
清子(渡部加奈)
       千葉の農家から、口減らしのために働きに出された少女。
       勝手が分からず何を見ても気おされて泣いてばかりいる。      
町子(山崎涼子)
       この劇場の踊り子たちのリーダー的存在。勉強熱心で、時
       間が空けば他の劇場を覗きに行っては、踊りを勉強して、
       他のものたちに教えている。
たまき(ayumi)
       宮城から出て来て、この劇場のナンバー2になった。活動
       的で、祭りがあると劇場を飛び出して踊りに行ってしまう。
菊枝(allay)
       踊りは子供の頃からやっている。ただ、のんびりした性格
       のため上に立つことを好まない。
マリー(渡邉まりあ)
       踊りが飯より好き。お金を貯めて上海のダンスホールに行
       きたいと思っている。
友江(松岡美那)
       熊本から東京へ出ては来たが、ここ数年踊り子をしてお金
       を貯めて、看護学校に行こうとしている。        
夏子(水野奈月)
       名古屋のダンスホールから流れて来た。マリーとともに上
       海に行こうとしている。    
敏子(中田侑里)
       他の劇場から引き抜きの話があるが、宝龍館に気の合う仲
       間が沢山いるため、頑としてここから動かない。
いずみ(山岸みか)
       浅草の生まれ。そば屋の娘で出前のために年中出入りして
       いるうちに、踊り子として入り込んだ。家族も応援してい
       る。
とも子(Hikaru) 
       父親が倒れたため、お金をコツコツ貯めて、実家に仕送り
       をしている。もっと送金するため、ダンスホールに移ろう
       かと思案中。            

《劇場の外の人々》

山岡隆一(片岡暁孝)
      浅草、寿町の質屋、順風堂の長男。関東大震災で両親を亡く
      し、家業を継ぐ。慣れない家業と弟の養育で命をかけていた
      絵をあきらめる。
山岡克美(熊野直哉)
      隆一の弟。帝大在学中から思想運動に身を投じ、特高警察に
      追われる。得意の太鼓を隠れ蓑にして宝龍館の世話になって
      いる。
櫻井愛子(高森ゆり子)
      キリスト教の伝道師。自分の辛い過去を神にゆだねた。浅草
      の女たちの自立と幸せを願って布教活動をしている。
本願寺悟(賢茂エイジ)
      国家を転覆しかねない危険思想を持つ者たちを一掃すべく行
      動する特別高等警察官。
本多薫(東慶光)
      大牟田出身。芸人になりたくて誠に付いて来た青年。
吉村吾一(本多孝太郎)
      四葉屋に通う染物職人。腕がよく真面目。桃子のもとに通う。 
      純朴で泣き虫。
小春(太宰美緒)
      四葉屋の店を切り盛りする女郎。穏やかで優しいので、他の
      女郎たちは小春を慕って集まっている。胸の病に冒されてい
      る。隆一と恋仲。
竜子(上久保慶子)
      生活力があるが、単純なのでよく男に騙されてしまう。この
      世界から足を洗って、自分の店を持ちたいと夢見ている。
桃子(飛田さやか)
      大らかな気性でお客に人気があるが、吉村と所帯を持ちたい
      と願っている。

ちとせ(吉永薫)
      一見、この世界の水に合っているようでいて、実は強烈な劣
      等感の持ち主。この境涯から抜け出したいという思いが強い。
花駒(舞華)
      のんびりした性格であどけないので、他の女たちがとても可
      愛がっている。
       

 

振袖お艶(磯村みどり)
      元は浅草六区の踊り子。いつも同じ振袖を着ている占い師。
      この浅草に集まる芸人たちを見守っている。下積みの少女た
      ちに深い愛情を示す。